アルカリ骨材反応により劣化したコンクリート構造物の補修工法拡大に向けてゼネコンや専門工事会社らで組織し、このほど発足10年を迎えたASRリチウム工法協会(長谷部正和会長)の定期総会が6月下旬、協会員である鴻池組の大阪本店内で開かれた。総会では、平成26年度事業報告や27年度事業計画、予算案、役員改選などの議案を審議し、いずれも満場一致で承認。協会発足後64件の実績のうち、多くを最近2~3年で受注するなど採用が急増していることや、他協会との共催により全国18カ所で開催予定の「コンクリート構造物の補修に関するフォーラム」で、4000人を超える申し込みを受けていることなど、工法に対する関心が非常に高まっていることも報告された。 | コンクリート構造物に生じたASR(アルカリ骨材反応)を抑制する補修工法 亜硝酸リチウムを主成分としたASR抑制剤をコンクリート中に圧入し、構造物全体のASR(アルカリ骨材反応)を根本的に抑制|ASRリチウム工法協会
プレス情報

"発足10年" 近年で採用急増
ASRリチウム工法協会総会開く

2015年7月15日 中建日報

2015年7月15日 中建日報 | ASRリチウム工法協会
 アルカリ骨材反応により劣化したコンクリート構造物の補修工法拡大に向けてゼネコンや専門工事会社らで組織し、このほど発足10年を迎えたASRリチウム工法協会(長谷部正和会長)の定期総会が6月下旬、協会員である鴻池組の大阪本店内で開かれた。総会では、平成26年度事業報告や27年度事業計画、予算案、役員改選などの議案を審議し、いずれも満場一致で承認。協会発足後64件の実績のうち、多くを最近2~3年で受注するなど採用が急増していることや、他協会との共催により全国18カ所で開催予定の「コンクリート構造物の補修に関するフォーラム」で、4000人を超える申し込みを受けていることなど、工法に対する関心が非常に高まっていることも報告された。
 長谷部会長(極東興和)は、設立10年に至る会員の努力に深い感謝を表明したのち、「本工法に対する関心は非常に高くなっており、ASR対策としてのみならず、塩害を含めた複合劣化対策への本工法の積極的適用を目指す。発注者に受け入れられやすい技術的なとりまとめを検討し、工法の一層の普及を図っていきたい」と抱負を述べた。
 また、総会後には技術顧問である京都大学・宮川豊章特任教授による設立10周年記念講演会『造りこなして、使いこなす"アルカリシリカ反応を中心として"』も開かれ、約60人の聴講者を前に時空間シナリオをイメージした維持管理でコンクリート構造物を丈夫で美しく、長持ちさせるためのストックマネジメントの重要性を説いた。
 ASRリチウム工法は、コンクリート構造物表面から削孔した圧入孔を通じ、亜硝酸リチウムを主成分としたASR抑制剤を構造物内部に加圧注入し、コンクリート全体に抑制剤を浸透拡散させるもの。これまで対策工法のなかったコンクリート内部のASR劣化を抑制すると同時に、塩害対策としての効果も期待され、構造物の長寿命化を実現できるとしている。